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【制作ストーリー】Bar ONOⅡ
こんにちは、トッシーです。初めて制作日記を書きます、キンチョー。うまく伝わるのか!?今回は大阪府岸和田市で営業をスタートされた「Bar ONOⅡ」の看板の企画について、現地調査から看板完成までを書きます。最後までお付合い宜しくお願い致します。それではスタート!
現地調査
まずは現地調査。様々な位置からどのように見えるのか。障害物や近隣の看板、人通りなど。情報を収集していきます。
僕が現地調査時に必ず持っていく、お役立ちアイテム3選を下記にまとめています。ご興味あれば、覗いてみて下さいね。
A地点からの店舗の見え方。フェンスとその下部の外壁。前のお店の方が使われていたであろう袖看板が目に留まります。
突然ですが、皆さん3秒7秒ルールって知ってますか?看板、ファサード(店舗外観のこと)に大きく関わるとても大切なお話です。こちらについては下記ブログにまとめていますので、ぜひご覧ください。
B地点からは、ちょうど車が止まっていることもあり、認知させるのは難しそうでした。ではなぜBから写真をとったのか。実はこちら東岸和田駅の改札を出てすぐの場所なんです。どんな店があるのかは知っている→前から少し気になっていた→今日は少し飲みたい気分→開いているかな?お、電気がついているから開いているな→ちょっと行ってみよう!というお客さんを狙えないかな?という可能性を探りたかったからなんです。ちなみに駅前なので歩行者・自転車の交通量は多め。
Aと反対側のC地点。既存の袖看板の一部しか見えませんでした。ただこちらからの人通りはかなり少なめ。本案件では、僕は捨てポイントかなーと判断しました。予算が潤沢にあれば、キャスター付きの置看板(スタンド看板)を営業中は設置する提案をしたかもしれません。
これが書き込み後の状態です。既存の看板はサビが回っていて使えそうになかったので、新しく袖看板(突き出し看板ともいう)を設置することを提案するか、花壇に新しく建てるのか。またはフェンスに取り付けることも考えました。この中からどの場所にどんな看板を企画すれば、より視認性が高く、消費者を誘導できるのかを考察します。
ヒアリング
これは打ち合わせ時のメモ書き。汚くてすみません。僕はヒアリングに一番時間をかけます。話めっちゃ長いです。疲れさせてしまいます、ごめんなさい。看板制作前にロゴマークを作らせて頂く機会も多いですが、その場合は更に情報が必要になります。店名の由来や、展望。どんな消費者をターゲットにしているのか、看板に記したい文言・カラーリング・客単価…などなど。
看板づくりは僕がクライアントから消費者へ伝言ゲームをするようなものなので、しっかり話を聞かないと目的にあったものになる訳がありません。だからこのパートは絶対に妥協ができないと考えています。
今回の出店は2店舗目にあたり、本店のBar ONOとは違ったカタチで消費者に楽しんでもらいたいというご要望。女性バーテンダーのいる店。本格的なバーの雰囲気ではなく、枝豆や冷奴のような居酒屋メニューとたくさんのお酒が楽しめるお店。既存顧客も大切にしながら、今までとは違った若い人たちにも利用して欲しい。そんなクライアントの願いがありました。
看板の企画・デザイン
クライアントからヒアリングした内容を整理し、方向性がまとまったらデザインを制作していきます。実際にクライアントに見て頂くデザインよりもたくさんパターンを考えて、多くの可能性を検証しています。ミリ単位で情報を整えていくことも。看板デザインが決まれば、それを元にTシャツや名刺などの販促ツールにも展開していきます。
今回は袖看板にアタリをつけました。B地点からのことも考えると遠くからでも見える方がよいと思ったからです。デザインを制作し始めてすぐ、初回の打合せ時には無かった物置きが突如店先に現れます。大人の事情です。最初は袖看板に全ての情報を集約する予定でしたが、店舗ファサードとしてどうしても物置きが入口付近を塞ぐように見えてしまう。しかしそれを撤去することは僕にはできない訳で。
ここで先程の3秒7秒ルールについてもう一度触れます。看板の目的を切り分けることにしました。7秒ルールとして何の店なのかを袖看板を使って伝えよう。3秒ルールとしてこのお店の「看板メニュー」を伝えよう。袖看板には酒の種類を書きました。上部に敢えて「酒」と漢字で表記したのは、バーに寄り過ぎずに居酒屋をイメージして欲しかったからです。カッコいいイメージを少し崩したかったのです。そして物置きは装飾して看板にチェンジしてしまいました。この位置までくれば、しっかり情報が読み取れるので、「定番の居酒屋メニューと10万種の酒が楽しめる店」というコピーを表記しました。今まで利用の少なかった20〜30代の方に好感をもってもらえるように、こちらではイラストを使っています。
居酒屋とバーというのは、潜在イメージの相反する要素が多いように感じます。それらを共存させるデザインには苦戦しましたが、打合せ時に得た情報の中からストレートにメッセージを投げかけることにしました。変に中性的な表現をしたり、奇をてらった言葉を使うよりも一目瞭然ですよね。
こうして袖看板は「誘導」を目的として、物置を装飾した看板は「認知」を目的にするというように情報を切り分けました。
看板制作
これは、アリシアで制作させて頂いた看板ですが、既製品の袖看板ってよく見かけると思います。内部に電球が入っていて両面が光ります。半透明のアクリル板にインクジェットプリンターで印刷した塩ビフィルムを貼り付けたり、カッティングシートを貼って制作することが一般的です。ですが今回はそれとは違う表現で制作しました。
内部を白に塗装しました。光が反射して、より明るくすることができます。
今回は敢えて内部を魅せる為に片側をスケルトンにしました。バーという業態に見合った印象を描きたかったからです。看板の企画って本当に自由度が高くて面白いお仕事です。ですが勿論責任も伴います。デザイナーのエゴだけを押し付ける提案をするのではなく、認知・誘導・集客、イメージアップに繋がるようにしなければいけません。バランスが本当に難しいなと常に感じながら、デザインしています。
意匠はカッティングシートではなく、アクリルの切文字を張り付けることに。5mmの厚みがあり、光源により影が落ちて立体感が際立ちます。高級感も増します。アリシアではアクリルの場合、最大30mmまでカットが可能です。もちろんレーザー彫刻もできますよ。
看板設置
看板が完成しました。いよいよ現地での設置業務です。設置風景は映像で簡単にまとめています。短めなのでよかったら見てくださいね。
看板完成
まとめ
看板は販促ツールのひとつであると思います。昨今ではSNSや食べログ、ホットペッパーなどで集客することに注力されている方も多いですよね。中には隠れ家的な、敢えて「看板のないお店」なんていうブランディングをされている店舗もあります。勿論それらも店主の戦略なわけですが、やはり看板(というより店舗ファサード)は即効性があります。消費者とお店がマッチングすれば、直ぐに集客に繋がるからです。美味しそうな料理の写真が掲載されていたりすると、覗いてみたくなりますよね。但し新規オープンやリニューアル直後の場合は、お互いが「LOVE」になるまでにアイドリングタイムが必要です。
本案件では、少し奇抜な企画をしたことで攻めすぎと感じられる方がいるかも知れません。ですが認知されていけば、必ず集客へと繋がっていくと信じています。挑戦なくして結果は絶対については来ない。これからも恐れることなくチャレンジし続けていきたい。看板をデザインすることが好きだから。クライアントに喜んでもらいたいから。集客にお役立ちして繁盛店になって欲しい、そう心から願っています。最後までお付き合い頂き、有難うございました。
おまけ
最後に先日WEBサイト用の撮影をされるとの連絡を頂き、お邪魔してきました。(知り合いのフォトグラファーさん)撮影の合間にちょこちょこ動画撮影をしていました。(カメラマンさんごめんなさい)シェイクしてる姿をみて、「おおっ」となりました。その時の映像を簡単にまとめていますので、よかったらご覧ください。
追記
オープンから1ヶ月
リニューアルオープンから約1ヶ月半、少しずつ新規顧客が増えてきたようです。嬉しい!良かったー。まだまだこれからですが、僕もお店の1ファンとして見守っていきたいと思います。
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